今日はドローンの話です。
ドローンを制御する信号は大きく分けると3つあります。
- 地上からドローンの機体をコントロールする信号
- ドローンが捉えた映像を地上に送る信号
- ドローンの機体情報や搭載している機材と地上のシステム間で通信する信号
これらの通信は、近年アナログからデジタルへと変わってきました。このデジタル通信のメリットは、多くの信号を同時に取り扱うのが得意であること、そして通信の品質が高いことなどがあります。
実は昭和の携帯電話はアナログ通信でした。当初は今のように普及が進んでいませんでしたから、あまり回線が混みあうこともなく快適に使うことができたのですが、携帯電話が普及するにつれて、多くの回線を同時に扱うのが得意なデジタル回線へと移り変ったのです。
ドローンも同じように今ではデジタル通信が主流になっています。
しかし、どうしてもデジカル化が出来ないものがあるのです。
この動画では、撮影チームがどのようにしてこの映像を撮影したかを紹介していますのでご覧ください。
さて、ここで紹介されているビデオのどこがアナログなのでしょうか。その答えは後ほどいたします。
遠隔操作をするドローンパイロットはゴーグルをかけていましたね。その中にドローンから撮られた映像が映る仕組みになっていて、パイロットはまるでドローンに乗っているかのように操縦するのです。
で、このビデオでは、どうやって撮影したのかを親切に説明しているので、その仕掛けについては判り易かったのではないかと思います。
あえて要約すると以下のようになります。
この街は複雑に入り組んでいるので、映像信号が受信できないところが出てくる。そこで、信号を中継するユニットを搭載したドローンをコース上空を飛行してライダーを捕捉する。パイロットが受信する映像信号は中継機を通すかあるいは直接受信するかは、品質の良い方を優先して受信することでパイロットの視界を確保する。
今回のような特殊なロケーションに対する対策として、見事な施策だったと思います。
ところで、アナログはどこ? ですが、この映像信号こそがアナログ通信です。これがなぜデジタル通信ではいけないのか。その理由は「遅延」です。あのような過酷な環境下での撮影(飛行)は、針の穴を通すような操縦が必要になるので、パイロットは送られてくる映像のほんの一瞬の遅れも許容できないのです。
実はこのように、特定したエリアをドローンで中継する場合、デジタル技術の方が多くのメリットがあります。中継の技術もごく一般的なもの(今ではLTE回線を利用するのも一つの方法)を利用できるし、映像は乱れもなくとても綺麗、今回のように特殊な用途でなければデジタル技術の集合で完結するシステムといえます。まさにDXと言って良いでしょう。
ですが、今回のようにデジタルの限界を超える先にある「感動」の領域にはアナログとの融合が効果的だったりすることもあるということでしょうかね。
今日は少し変わったジャンルの話題になりましたが、これからDXを推進する上で「システムにあえてアナログを加えることでより効果を発揮する場合もある」ということを頭の隅においておきたいと思いました。